あらすじ---「30年後」

今から30年後、大阪民国琉球王国は日本国から独立します。
大阪民国は、シンガポールや統一コリアに並ぶ、独裁経済国家として。
琉球王国は、原子力発電所がなかったことが幸いして、一大観光国家として。
残念ながら、北海道は、北方四島とともに、今から20年後にロシアの自治州となっています。


日本国は、一時の繁栄はどこへやら、経済的には随分貧乏な国になりました。
作為的な円安がその引き金になり、めぼしい財産が海外へと流出したためです。
もちろん、最大55施設にまで膨れ上がった、原子力発電所の廃止費用が最大のネックであったことは言うまでもありません。
事故を起こした福島第一発電所を中心とする半径約50kmの地域は、国連が管理する絶対立ち入り禁止区域となり、日本地図から消えました。


度重なる、作為的な投票操作により、日本の選挙制度、日本の議会制度は、崩壊しました。
デモとテロ、血で血を洗う内戦、、、にはならず、クラウドサーバーをまたにかけたサイバーデモやサイバーテロ、強訴や一揆により、国の機能が停止したのです。
国家に忠誠を誓うことを改正憲法で強いられるようになった国民は、国家や貨幣を全く信用しなくなり、各地で大小独自の物々交換圏が成立しました。
議会制度や経済制度がほぼ崩壊したにもかかわらず、これら物々交換圏のおかげで、餓死者も出ず、かえって出生率は向上しました。


敬宮様が天皇に即位されたのを期に、日本国は、議会民主制の国から、立憲君主制の国へと変貌を遂げました。
首都は、東京から京都に遷されました。
もしかすると、これは国民が待ち望んでいたことなのかもしれません。
弱小国となった日本国に対し、世界中どの国もそれほど関心を示さなかったので、この制度改革はあっけない程スムーズに進みました。


太平洋戦争終結から100年を経て、日本国は、ようやく本来の姿を取り戻し、真の意味で世界から独立国として認められるようになったのです。