個人と組織

個人は組織の一部として機能していることは事実ですが、個人は組織の一部ではありません。
個人は組織の機能の一部を担っていますが、個人の機能は組織の機能の一部ではありません。
組織は様々な個人が集まることによって力や価値を高めているのであって、組織の力や価値の為に個人が存在するのではありません。
個人はそれぞれの意志によって組織に参画しているのであって、組織の意思が個人の意思を規定することは原理的にありえません。


ある人が去り、別の人が来れば、ちょうどその分だけ違った組織になります。
価値のある人と価値のない人がいるわけではなく、それぞれ違う人がいるというだけです。
どんな人にも尊厳があるというよりは、それぞれ別の人格であるということです。
組織は、ただ単に、別々の人格を有する個人が、それぞれの思惑で集まって形成した集合体にすぎません。


だからこそ、それぞれの個人が、それぞれをそれぞれの存在として認識し、それぞれの意思として主体的に組織に関わるのでなければ、組織の力や価値として機能することはありません。
組織を形成維持する為には、組織に参画するすべての個人との真摯な言葉の交流以外に方策はありません。
組織の発展は、ひとりひとり個人の発展の積み上げにほかなりません。


一個人が別の一個人を評価することは、本当に正当なのだろうか?
人としてやっていいことなのだろうか?
やっていいとするならば、どういう言い訳が成り立つのだろうか?
結果に対する責任の所在はどこにあるのだろうか?


個人というものに対する根源的な問いと、それに対する答えを、いわば原罪として、常に意識し続けること以外、組織を考察できるすべはないということなのでしょう。